オメガが採用した技術 『 コーアクシャル 』 について
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時計の寿命とオーバーホールまでの期間を延長した技術
コーアクシャル・エスケープメント は、1977年に時計師ジョージ・ダニエルズ氏が発表し、1999年にオメガが商品化に成功しました。 今までと比較して何がどう良くなったのかと言うと、時計のオーバーホールが少なくて済むのと、時計の寿命が延びるということです。
では、コーアクシャルとは何か? それを説明するには、” 脱進機 ” の仕組みについて知る必要があります。 機械式時計は、ゼンマイを動力にして動きますが、そのエネルギーを一定の割合で調速装置のテンプに供給し、テンプの規則正しい振動をフィードバックして歯車を正確に回転させるのが ” 脱進機 ” という制御システムなのです。 ムーブメントの中で最も頻繁に動く脱進機は、常に大きな摩擦が生じています。 したがって、潤滑油の定期的な注油が必要不可欠であり、この問題は何世紀もの間、解決策が見つからずにいたのです。
そこで登場したのがコーアクシャル! コーアクシャル は、脱進機に同軸ガンギ車 ( 名称の由来 ) と特殊形状のアンクルを用い、摩擦や注油を激減させた画期的な技術です。 従来のスイスレバー脱進機は爪石の注油が非常に重要で、これを正しく実施しないとてんぷの振り角 ( 回転する角度 ) が落ちてしまい、脱進機誤差も大きくなり精度に問題がでます。 また、爪石の油が飛んでしまうために3年から4年に一度のオーバーホールが必要になるのです。 しかし、コーアクシャル脱進機は爪石という部品に対する注油が不要なため、長期間メンテナンスが不要になりました。
コーアクシャル脱進機によって、耐久性が増して、長期にわたって高い精度が実現できるようになりました。 機械式時計は、性能維持のためにオーバーホール ( 定期メンテナンス ) が不可欠ですが、そこに一つの画期的なソリューションを見出したのがオメガでした。 当初、コーアクシャル脱進機を搭載した時計は量産が難しく、またコストが高くなるため自作の時計にしか採用されてませんでした。 しかし、1999年にオメガが 『 デ・ビル・コーアクシャル 』 の Cal.2500 に正式採用して実用化に成功しました。 現在もコーアクシャル搭載モデルが増えており、機械式モデルはこのタイプのムーブメントに置き換わることになるでしょう。
下に掲載してるのは、オメガの コーアクシャル・エスケープメント の紹介動画です。 非常に精巧に製造されてるのが分かると思います。興味のある方は一度ご覧ください。